「腸活」というワードがあるほど注目されている腸内環境。
発酵食品が腸に良いことは知っている方も多く、意識的に毎日の食事に取り入れている方も。
しかし、どうして発酵食品が腸を整えるのか、理由は知らない方もいるのではないでしょうか。
発酵食品が腸に良いのは、発酵食品によって腸が発酵し、その発酵が身体を健康的な状態に保つからです。
「腸が発酵する」とは想像がつきませんよね。
この記事では、腸が発酵し、それが健康につながるとはいったいどういうことなのかを解説します。
私たちの腸では何が起こっているのでしょうか。
腸の役割
腸は第二の脳と言われるほど大切な器官です。
食べ物をただ消化するだけでなく、腸で栄養素や水分を吸収しています。
また、老廃物や毒素の排出、さらに免疫細胞が集中しているので免疫機能にも関わってきます。
そのため、腸の調子によって、体調不良や栄養をうまく吸収できなくなることがあるのです。
具体的には腸内環境が悪化すると次のようなことが起こります。
- 便秘・下痢になる
- 免疫力低下
- セロトニン低下
- 栄養を吸収できず肌荒れする
心当たりのある方もいるのではないでしょうか。
3番目のセロトニンとは、脳の神経伝達物質のこと。
セロトニンが低下することは、感情のコントロールが効かなくなり、心のバランスの乱れに繋がります。
つまり、腸環境の悪化は身体だけでなく心にも影響を与えてしまうのです。
腸内環境が悪化する原因は腸内で発酵がおこっていないから
腸内が発酵するとはどういうことか?
では、どうして腸内環境が悪化するのか。
それは、腸内で発酵がおこっていないからです。
と言っても「腸内で発酵」とはどんなことなのかよく分からないですよね。
善玉菌や悪玉菌という言葉を聞いたことがあると思います。
これらは腸内にある細菌のこと。
善玉菌、悪玉菌、どちらでもない日和菌の割合が2:1:7である状態が健康的な腸環境です。
善玉菌が多く、悪玉菌が少ない状態がいいのですね。
善玉菌が働くと腸内で発酵が起こります。
そして「短鎖脂肪酸」という酸が生成されます。
発酵とは、菌によって成分が分解されて身体に有用な物質が作られること。
善玉菌によって腸内で発酵が起こり、短鎖脂肪酸という物質が生成されるのです。
短鎖脂肪酸とは、人間の大腸内で腸内細菌によってつくられる酸の一種。
この短鎖脂肪酸が腸内環境のカギを握っています。
短鎖脂肪酸とは?生み出されないとどうなるか?
では、短鎖脂肪酸とはどんな働きをするのか見ていきます。
短鎖脂肪酸は先ほども言った通り、大腸内で腸内細菌によって作られる酸のこと。
大腸粘膜の細胞のエネルギー源や、カルシウム、マグネシウム、鉄の吸収を促します。
つまり、短鎖脂肪酸があることで栄養素を腸が吸収できるようになるのです。
また、短鎖脂肪酸は腸内を酸性にし、悪玉菌の減少も促します。
反対に、短鎖脂肪酸が生み出されないとどうなるのか。
悪玉菌は増加し、摂取したタンパク質が有害物質に変わります。
そして腸のバリア機能が低下し、ウイルスや細菌に感染しやすくなるのです。
短鎖脂肪酸を生み出すためにも、善玉菌を増やして腸内を発酵した状態に保つ必要があります。
では、どうしたら腸内で発酵を起こすことができるのでしょうか。次の章で見ていきます。
腸内で発酵を起こすには食生活を改善する
善玉菌を摂取
腸が発酵するには短鎖脂肪酸を生み出す善玉菌が必要です。
つまり、摂取するのは善玉菌。
善玉菌は、ヨーグルトや味噌、キムチ、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品に多く含まれます。
その中でも特にビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などの生きた菌を含む食品に善玉菌が含まれています。
やはり腸には発酵食品が良いのですね。
善玉菌の餌を摂取
ただ、善玉菌を含む食品を食べるだけではもったいないことをしています。
善玉菌は、摂取してから体内で増やすことが大切です。
善玉菌を増やすには、善玉菌の餌が必要です。
善玉菌の餌とは、オリゴ糖と食物繊維。
オリゴ糖は玉ねぎやゴボウ、アスパラガス、大豆類、バナナなどに含まれます。
また、食物繊維は水溶性と不溶性の2種類に分けられ、水溶性の食物繊維が善玉菌の餌になります。
水溶性食物繊維はゴボウやほうれん草、きのこ類、ブロッコリー、海藻などに含まれています。
善玉菌と善玉菌の餌を一緒に取ることで、増やしやすくしましょう。
発酵食品を食べて、腸内を発酵させよう
発酵食品は善玉菌から腸を発酵させ短鎖脂肪酸を生み出し、体調を安定させる大切な食品でした。
しかし、ただ発酵食品を取るだけでは効果はイマイチ。
発酵食品に合わせて、善玉菌の餌となるオリゴ糖(玉ねぎ、ゴボウ、大豆類、バナナ等)と水溶性食物繊維(ゴボウ、ほうれん草、キノコ類、ブロッコリー等)を一緒に摂取することが重要です。
善玉菌を効率的に増やし、腸を発酵させて身体と心を健康にしていきましょう。
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